2004-06-09 ◆インド・シンガポール自由貿易協定交渉立ち往生 【ニューデリー】インドとシンガポール間の自由貿易協定(FTA)交渉は、悪天候に見舞われ、困難な状況に陥っている。ホームストレッチの最終協議とも言える会議が今月4日商工省ビルで催されるはずだったが、キャンセルされ、今月末に延期された。 インディアン・エクスプレスが6月5日報じたところによると、交渉者の1人は「これは決して相互の便宜を配慮したスケジュールの変更ではなく、次回の会合をどこでもつかは新閣僚が我々に伝えることになる」と述べ、別のオフィシャルは「話し合いの姿勢は一層厳しいものになった」と語った。 同オフィシャルは潜在的な交渉の障害(Deal Breaker)として以下の諸点を掲げた。1)“バジパイ前首相がバリで発表したシンガポール航空(SIA)へのインド4都市への乗り入れ承認”。2)“シンガポールの航空会社のインド国内20空港への乗り入れ承認”。3)“インドがモーリシャスと結んでいる二重課税防止条約と同等の条約をシンガポールとの間でも締結し、両国間に金融単一市場を構築すると言う構想”。4)“シンガポール拠点の多国籍企業にも、インドがシンガポールの地元企業に保証するのと同等の待遇を認める”。 これらの案件は、インドがその関税をシンガポールのレベルまで引き下げること以外に、様々な関係省庁の認可を取り付ける必要がある。いくつかの構想、例えば民間航空問題等は、バジパイ政権の下で既成事実化されていたが、その他の案件は選挙以前に既に複雑化していたと言う。 シンガポールのゴー・チョクトン首相は、リー・シエンロン副首相に首相の座を譲るに先立って、7月に当地を訪れ、関係協定に調印するものと信じられていた。シンガポールはインドにプレゼンスを築くことにより、中国偏重のバランスをとることを希望した。 ゴー氏は、インドと中国をジャンボ機の2つのエンジンに譬え、かつASEANを胴体とする戦略を掲げ、FTA締結に大きな期待を寄せていた。これに対してインド側代表を務める中央銀行のRakesh Mohan副総裁は、シンガポールとのFTA交渉に際して、シンガポールを踏み台に中国及びASEAN市場にアクセスするFTAプラス・アプローチを採用した。 外交の常道に従って1ラウンド平均1ヶ月、合計8ラウンドの次官級会談を通じ、今年4月に調印にこぎ着けるはずだった。しかし同デッドラインは守られず、5月にもたれるはずだった第9ラウンド会議も、6月に延期された。ゴー首相は7月9日に当地を訪れることになっているが、FTAに調印することなく、空手で帰国することになりそうだ。