SEAnews 1997-09-24 ArtNo.12149

【シンガポール】英国のチャールズ・グレイ勅撰弁護士(QC)は22日催された上訴廷の席上、与党人民行動党(PAP)の11人のリーダーの名誉毀損訴訟で、野党工人党(WP)の前国会議員候補タン・リャンホン氏に支払いが命じられた807万5000Ｓドルの賠償金はグロテスクなほど法外なものと指摘した。
グレイ弁護士によると、シンガポール市民の平均1000～1500Ｓドルの月収を基準にすれば、同賠償額の支払いには500年を要する。またシンガポールにおける下半身不随者に対する補償は12万Ｓドル、四肢が完全に麻痺した者に対する補償額も約20万Ｓドルに過ぎない。オーストラリアや英国における名誉毀損の賠償額に比べても、原告に対する賠償請求額は忌まわしいほど法外なものである。しかもＰＡＰリーダーはそのオフィス、職務、家庭、社交界における地位を維持しており、原告のいわゆる誹謗により一夜の安眠を妨げられた者もない。
チャオ裁判官は原告がショービニスト、人種主義者であるとの理由に基づいて賠償支払いを命じたが、以上の理由の1つも立証されていない。
また。原告がＰＡＰリーダーからショービニスト、人種主義者と批判されたことにより身の危険を感じ警察に通報したことを、ＷＰのジェヤレトナム書記長がマスコミにに公表、後者はこれにより最大限の政治的宣伝効果を実現したと、チャオ裁判官は判定しているが、これは甚だしい誤解で、その実弁護士を通じて原告の警察への通報内容を手に入れ、マスコミに発表したのは、ゴー・チョクトン首相とリー・クアンユー上級相自身と言う。(ST,BT,LZ:9/23)