SEAnews 1997-10-27 ArtNo.12570

【ボストン】シンガポールのリー・クアンユー上級相は24日、域内諸国は通貨危機の打撃から2、3年内に立ち直ることができるとの見通しを語った。
米国ボストで催されたフォーチュン500フォーラムで基調演説を行ったリー上級相によると、東南アジアを襲った通貨危機は、より多くの国に市場開放と市場指向経済制の採用を強いたが、経済改革が完了すれば、東南アジアは引き続き高成長地帯としての地位を維持でき、投資家の信頼も回復する。賃金やその他の生産コストの上昇を抑制しさえすれば、ローカル通貨の軟化は輸出を刺激するため、域内経済は2～3年内に回復する見通しだ。
投資家の信頼を回復する鍵は、マクロ経済の立場から金融改革を実行、銀行に対する監督を強化すること。関係方面に歓迎されない政策も敢然として実行する指導力を備えた政府が最大の恩恵を享受できる。
東南アジアは、高い貯蓄率、経済／ビジネス指向の政府、向学心／勤労精神旺盛な国民等、成長の基本的条件を備えている。しかしながら忘れてならないことは、貯蓄や借款は生産的なプロジェクトに投じられねばならないこと。タイ業界は借り入れた多額の米ドルを住宅不動産に注入したため、輸出不振と住宅価格の値下がりが生じた際には、金融部門が苦境に立たされ、バーツが投機家の攻撃の標的にされた。政府や野党リーダーの多くが金融業界と深いつながりを有することから、こうした問題を克服する厳しい措置も採用できなかったと言う。(ST,BT,LZ:10/25)