SEAnews 1997-12-20 ArtNo.13269

【シンガポール】シンガポール・ケーブルビジョン(SCV)の新社長に就任が予定されているヨン・ラムサン氏は、マーケッティングを最優先する考えを確認するとともに、1998年末までにシンガポールの全家庭をケーブルでリンクする目標の達成にも努める意向を明らかにした。
シンガポール・テクノロジー・グループに属するサンページのジェネラル・マネージャーを務めるヨン氏は、「もちろんマーケッティングが優先、60万世帯がケーブルでリンクされているのにマーケッティングをしないのは気違い沙汰」とする一方、シンガポール全島をカバーするケーブル網の実現にも力を入れるが、もし実現できなかった時には理解を求める他はないと語った。
ヨン氏は、1998年末の完工期限が重要な理由の1つとして、来年初に発行される予定の第2基本通信ライセンスの取得者からＳＣＶのネットワーク利用に関する商談を受ける可能性を指摘した。
ＳＣＶが18日確認したところによれば、これまでに60万世帯がケーブルでリンクされ、内10万世帯がケーブルＴＶの視聴契約を結んでいる。今年末には契約者は10万5000世帯に拡大、加入率は17.5％に達する見通しだ。月間新規加入者の数は当初の2889人から過去4カ月の平均6743人に拡大している。しかし月間解約率は昨年の6％から4.4％に下降したものの、今年初11カ月の累積では48％に達し、同期間に契約を結んだ9万人中、3万5000人が既に解約、5万5000人の純増にとどまった。
ダニエル・ゴー現社長は、ＳＣＶがケーブル敷設にのみに力を入れ、マーケッティングを軽視してきたとの批判に対して、解約率が40％にのぼったことからも、シンガポールの大部分の家庭が従来のＴＶ受信方式に慣れていることが窺え、マーケッティング不足を低加入率の原因とすることはできないと語った。
一方、ＳＣＶのプログラミング担当者は、シンガポール・テレコムが最近開始したＭａｇｉｘのビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスがケーブルＴＶに脅威を及ぼすとの見方を否定、「Ｍａｇｉｘの契約者の数を見れば、答えは明らか。一部のスタジオはＶＯＤのビジネスへの影響を懸念して、新作を直ちに配給することを拒んでいる」と指摘した。(ST:12/19)