SEAnews 1998-03-16 ArtNo.14189

【シンガポール】アジアを襲った金融危機は一部の国の経済を2～4年停頓させるに過ぎず、アジアの奇跡が消滅した訳ではない。世界経済の重心が西欧からアジアに移動する長期的趨勢は依然変化していない。
シンガポールのリー・クアンユー上級相は最近米国の雑誌フォーブズのインタビューに応じ以上の考えを語った。それによるとアジアの金融危機は決してアジア的価値観に由来するものではなく、その実、勤勉、貯蓄、家族紐帯、子弟教育重視と言ったアジア的価値観は、経済再建にも重要な役割を担うはずである。
過去15年間にわたり高度成長を遂げてきたアジアの対外債務の急増は最近3年間に生じたものに過ぎず、アジア諸国が自国通貨の対米ドル自由変動制を早期に採用していたなら、こうした危機は発生しなかったものと見られる。
米国投資家が資金面や技術面からアジアの復興を支援するなら、経済復興の恩恵をアジアと分かち合うことができ、賢明な選択と言える。しかし値下がりに乗じてアジアの資産を買いあさるだけなら、恨みを買う恐れがある。
リー上級相はまた、「西側はフィリピンの民主改革を賞賛するが、フィリピンは今回の経済危機克服の面で何ら目立った成果を上げていない」と指摘、西欧スタイルの民主制度導入が、経済の安定につながるとの説に反対した。(ST,LZ:3/14)