SEAnews 1998-07-28 ArtNo.15876

【クアラルンプル】マレーシアの今年の情報技術(IT)市場は、昨年と比べＭドル・ベースでは2％の成長が見込まれるものの、米ドル・ベースでは昨年の18億米ドルから13億米ドルに27％縮小する見通しだ。
市場調査会社インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)マレーシアのセリナ・チン女史によると、日本を除くアジア太平洋市場のＩＴ支出も昨年の503億米ドルから490億米ドルに下降、シンガポールでも26億3000万米ドルに1.4％の萎縮が見込まれている。しかしＳドル・ベースではシンガポールのＩＴ市場はなお10％の成長が予想される。
マレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)フラッグシップ・アプリケーションの予算は大幅に切り詰められており、パソコン(PC)販売台数も昨年の39万4000台から31万8000台に下降が見込まれる。またＰＣ販売に占めるホーム・マーケットのシェアは32％から25％に後退する見通しだ。ＰＣ販売はマレーシアのＩＴ市場のほぼ3分の1を占めている。
少なからぬＰＣメーカーが少なくとも30％の売上減を報告しているが、米国のＰＣメーカー、デルはマレーシア市場のトップ・スリーに浮上、シェアを拡大している。同社は昨年は5指にも数えられていなかったが、直販の強みを発揮、急成長を遂げている。
ＩＤＣがマレーシア企業500社を対象に調査したところ、ミレニアム(Y2K)バグ(既存ｺﾝﾋﾟｭｰﾀｰが2000年以降に年号を識別できなくなる問題)が最大の関心事と指摘されたが、Ｙ2Ｋ問題対策予算もカットされている。
しかしサン・マイクロシステムのゴビナタン・ピライ重役(MD)は、ＭＳＣプロジェクトは依然としてパイロト・プロジェクトの域を出ていないため、顕著な予算カットやスロー・ダウンは予想されず、昨年(97/7-98/6)20％の落ち込みを見た同社の営業額は今年度は米ドル・ベースでも20％の成長を回復すると予想した。
同氏によると向こう24カ月には多くのＭＳＣアプリケーションが市場に投入され、ＩＴ支出の成長を牽引する見通しだ。この他、マレーシアの各大学は定員を拡大して、国内景気の不振で海外留学を見合わせた学生を受け入れており、この方面でもＩＴ需要の拡大が見込めると言う。(BT:7/27)