SEAnews 1998-12-15 ArtNo.17651

【シンガポール】今年は金融危機に直面するアジアに欧米企業が大挙押し寄せ、財政難に陥った企業やその資産を大量に買収するものと予想されたが、結局そうしたことは実現せずに終わりそうだ。
米国ニュージャージー拠点のセキュリティーズ・データ・カンパニーズの調査によれば、今年に入って以来10月25日までに、アジア太平洋地域(日本/ｵｰｽﾄﾗﾘｱ/ﾆｭｰｼﾞｰﾗﾝﾄﾞを除く)で成約にこぎつけたＭ＆Ａ(合併買収)の額は490億米ドルにとどまり、通年でも600億米ドルが見込まれるに過ぎない。これは昨年の769億米ドルも大きく下回る。
銀行やマネージメント会社は、Ｍ＆Ａ専門チームをアジアに送り込んだものの、いずれも、さしたる成果は上げられなかったようだ。
期待はずれな結果に終わった理由としては、売り手と買い手の希望価格に依然として大きな差が有ったこと、ラテンアメリカの例とは異なり、アジアでは交渉に予想以上の時間を要したこと、買い手が必要とする情報が十分提供されなかったこと、債務再編計画の遅延等が指摘されている。
子会社1社を買収するつもりが、錯綜する債務保証関係からグループ全体の救済せねばならないことが明らかになり、買収を思いとどまったと言ったケースも報告されている。
業界関係者は、アジア企業の債務再編計画はやっと緒についた段階で、本格的なＭ＆Ａの波は来年以降に押し寄せると予想している。(BT:12/14)