SEAnews 1998-12-17 ArtNo.17681

【シンガポール】サテライトＴＶ会社やケーブルＴＶ会社がインターネット市場への進出を図っているが、スターＴＶやミュージック・テレビジョン(MTV)、ディスカバリ・チャンネル等は、目下のところネットからの直接収入にはそれほど期待しておらず、間接的にＴＶビジネスを補強する効果を期待しているようだ。
先週当地で催された“ケーブル・アンド・サテライト・アジア’98”の会場で地元Tricastのポール・メイヤーズ重役(CEO)が語ったところによると、アジアのネット人口は現在、日本を除き700万人を数え、2002年には3500万人に達する見通しだが、米国やシンガポールではネット・ユーザーが増えるにつれ、ＴＶの視聴時間が減少する傾向が生じており、このことも放送会社がネット進出を図る一因になっている。
トライキャストのウェブサイトとＴＶプログラムは相互に販促を行い補完し合っている。インターネットは、ＴＶでは真似のできない方式により視聴者に訴えることができる。ＴＶ視聴者は単に与えられた情報を受容するだけで、それ以上のものを追求することはできないが、インターネットなら視聴者と放送者が直接情報を交換できる。インターネット技術はまた視聴者の利用パターンをモニターし、オンラインの市場調査を行うことができると言う。
今年7月にウェブサイトwww.startv.com.を設けたスターＴＶのパトリシア・スティーブンソン課長(ﾏｰｹｯﾃｨﾝｸﾞ担当)によると、同社のインターネット・ビジネスはＴＶプログラムの広告を通じて既に採算ラインに乗っている。同社はまたＴＶプログラムを通じて大々的にウェブサイトを販促している。
この他スターＴＶは、ウェブサイトの訪問者から収集した顧客情報の販売やＣＤ、スポーツ用品、各種商品のオンライン・セールからも一定の収入を上げている。しかしスターＴＶはネットを主要な収入源とは見ておらず、ＴＶプログラムを観賞せぬ層への浸透や情報収集手段と見なしている。当面は利益を上げるよりもウェブサイトを訪れるサーファーを増やすことが先決と言う。
ＭＴＶアジアのフランク・ブラウン社長もネットはプロモーションと市場調査の手段と指摘する。ＭＴＶアジアはまたＴＶとネット（www.mtasia.com.）を結合、ＴＶ画面の下部にメッセージやＥメール、アンケート欄を設け、番組中の人物と視聴者のインターラクティブな交換を可能にしている。将来はウェブサイトを利用して社会問題等に関する意見交換を行うことも計画しており、例えば話題がエイズであれば、コンドーム会社がスポンサーを引き受けるはずと言う。
米国のノン・フィクション・エンターテーメント・チャンネル、ディスカバリのドナルド・ウェア社長によると、ＴＶ番組の中で、番組に関係する一層の情報を知りたい者にウェブサイトを訪れるよう勧め、ウェブサイトの運営は広告費で賄うと言った方式が考えられる。例えばミュージック番組であれば、関係する書籍やＣＤ出版社、旅行番組であれば旅行代理店の広告を掲載できる。同社は2000年にインターネット・ビジネスに進出することを目指していると言う。(BT:12/16)