SEAnews 1999-05-03 ArtNo.18988

【シンガポール】金融危機の打撃を受けたアジア諸国の経済は概ね最悪の時期を切り抜けたように見えるが、回復の道程は長く、苦痛を伴う見通しだ。
ゴー・チョクトン首相は4月29日に発表したメーデー・メッセージの中で以上の指摘を行った。それによると、大部分の経済部門の年初3カ月の成長の勢いは弱く、労働者は依然として解雇の脅威に晒されている。この他の懸念材料としては、中国経済の成長が鈍化、日本経済の復調のペースも不透明なこと、米国と欧州の成長鈍化が予想され、インドネシアの政情不安も続いていることが挙げられる。
しかし政府が昨年発表したコスト削減策に対する労働界の支持により、シンガポールに対する投資家の信頼は高まっている。
シンガポール国民はこうした団結の恩恵を享受できる見通しで、政府も失業や住宅購入ローンの返済に悩む者に対する必要な支援措置を講じて行く。労働省、全国労働組合会議(NTUC)、社会開発評議会(CDC)等の支援も奏功し、解雇者10人中7人は9カ月以内に新たな職場を見出している。とは言え希望する条件を全て満たすことは困難で、労使双方その条件を現実的なものに調整する必要がある。
一方、労働者の5人に4人は、情報技術(IT)／人間工学／生命科学等の領域における教育・技術レベルのアップデートを必要としており、政府は全国終身学習システムを設け、全ての者に再学習／再訓練の機会を提供する。
相互に助け合い、直面する競争に立ち向かうことこそ、シンガポールの将来の成功と繁栄の持続を約束する道と言う。(ST,BT,LZ:4/30)