SEAnews 1999-05-11 ArtNo.19075

【シンガポール】アジアの金融市場は過去数ヶ月間に急速な回復を見たが、現在の市場情緒は経済の実相を反映しているとは思えない。
リー・シエンロン副首相は7日催されたヨーロッパ・デー祝賀午餐会の席上、以上の考えを語った。それによると、シンガポールの株式市場は過去1、2カ月劇的な回復を見、市場規模は昨年9月の2倍達した。
しかし経済のファンダメンタルが同期間にそれほど改善したとは思えない。したがって昨年9月の株価が過小評価されていたか、現在の株価が過大評価されているかのいずれかである。
シンガポール金融管理局(MAS)会長も務めるリー氏は、以上の考えを語った後、自身の発言が市場の過剰反応を引き起こすリスクを配慮してか、直ちに、自分には現在の株価が高すぎるとか、低すぎるとかコメントする立場にはないと付言した。しかしこの日のストレート・タイムズ株価指数は75.19ポイント、3.8％下降し、1899.45で引けた。
リー氏によれば、過去20年にわたる高度成長を支えたアジア経済の基盤が消失した訳ではなく、アジア諸国はその時が来れば再び成長を回復する。経済危機がもたらした景気の底は、多くのビジネス機会を生じさせており、こうした機会の全てが収穫期を迎えた訳ではないが、既に域内には大型投資がなされている。例えばブリティッシュ・テレコムは18億Ｍドルを投じてマレーシアの電話会社ビナリアンの33.3％の権益を買収した。
しかし売り手はその資産のフェア・バリューが危機以前を遙かに下回ると言う現実を受け入れる必要があり、ある種の忍耐を求められると言う。(ST,LZ:5/8)