SEAnews 1999-09-28 ArtNo.20530

【シンガポール】シンガポール経済は、先月(8月)国内総生産(GDP)の4分の1を占める製造業生産の18.3％の成長に支えられ、力強い復調を見た。製造業の成長は特に電子部門と化学部門の生産の急増に牽引された。
経済開発局(EDB)が26日発表した8月の工業生産指数報告書によれば、製造業はこれで9カ月連続の成長を記録、今年初8カ月の製造業生産は、昨年同期比12.6％の伸びを見た。製造業生産は域内経済の順調な回復と米国及び欧州の堅調な需要に支えられ、6月の18.6％、7月の17.9％、そして8月の18.3％と、ハイレベルな成長を続けている。
製造業生産の43％を占める電子部門は8月に33.6％の成長を遂げ、スター・パフォーマンスを示した。セル式電話／集積回路(IC)／通信機器／半導体に対する強い需要が、電子部門の成長を牽引、ディスク・ドライブ(HDD)生産も、業界再編の最中に関わらず、昨年同月を僅かに上回った。しかしプリント基板アセンブリー(PCBA)の生産は輸出需要の減退で下降した。この結果年初8カ月の電子生産は22.5％の成長を遂げた。
製造業生産の5分の1を占める化学産業生産は8月に16.7％、年初8カ月には17.5％の成長を記録した。特に8月には医薬品が54％、工業／特殊化学工業が63％の成長を見た。しかし石油化学の成長率はマイナス3.3％、石油精製はマイナス19.4％と、何れも落ち込みを見た。
エンジニアリング部門はプレシジョン・エンジニアリングの14.1％の急成長に支えられ、8月に3.4％の伸びを記録した。プロセス・エンジニアリングも6月のマイナス15.0％、7月のマイナス14.5％から1.8％のプラス成長を回復した。しかし輸送機器部門は6月のマイナス0.1％、7月のマイナス7.8％に続き、一層大幅な8.9％の落ち込みを見た。エンジニアリング部門の年初8カ月の成長率はマイナス1.4％となった。
アナリストらは一般に電子産業を軸にした景気の復調が持続すると予測しているが、8月の国産非石油製品輸出が8.5％にとどまり、特に電子輸出の伸びが僅か1.6％にとどまったことから、製造業界が在庫を積みましているのではないかと懸念する向きもある。製造業生産の急成長に比して国産非石油製品輸出の伸びは相対的に低水準を維持しており、両者の開きは拡大する傾向も見られる。こうしたことから製造業界が今年法人税が免除されたマレーシアからの輸出を拡大、シンガポール・サイドの輸出収益を低く抑える操作をしている可能性も指摘されている。(ST,BT,LZ:9/27)