SEAnews 1999-10-28 ArtNo.20847

【シンガポール】シンガポールの製造業生産は、化学産業と電子産業の堅調に支えられ、9月も昨年同月比14.2％の2桁成長を記録した。成長のペースは7月の17.9％、8月の18.4％に比べ鈍化したものの、今年5月以来の二桁成長を維持、これで年初9ヶ月の製造業成長率は12.7％になった。
シンガポールの国内総生産(GDP)の4分の1を占める製造業は、ＧＤＰ成長の原動力となっており、5月以来の強力な伸びはシンガポール経済が持続的な回復の軌道にあることを裏付けている。
経済開発局(EDB)が26日発表したデータによれば、電子部門はディスク・ドライブ(HDD)及びプリント基板アセンブリー(PCBA)の落ち込みに関わらず、14.8％の堅調な成長を遂げた。ＨＤＤ生産は主要プレーヤーの事業再編により、またＰＣＢＡ生産は国内及び輸出注文の減退により、それぞれ下降したが、いわゆるモバイル製品やプリンターに対する堅調な輸出需要から、通信機器とコンピューター周辺機器部門は力強い成長を見た。
化学部門は薬品及び特殊化学品の好調から32.9％の成長を記録した。薬品生産は精製化学品輸出の急増に牽引され63.5％ジャンプ、工業化学／特殊化学品の生産も特殊化学品／鉱物性添加物の域内需要に支えられ61.1％の伸びを見た。不振を続ける石油精製部門も昨年同月の数字が低調だったこともあって9月には5.2％の成長を記録した。しかし石油精製部門の年初9ヶ月の成長率は依然として6.9％のマイナス成長にとどまった。
電子、化学に次ぐ、シンガポール製造業の3本柱の1つに数えられる、工学部門は8月には4.2％のプラス成長を回復していたが、9月には運輸機器部門(-19.1%)とプロセスエンジニアリング部門(-6.1%)の不振で、再び4％のマイナス成長に後退した。とは言え精密工学部門だけは9.7％のプラス成長をマーク、工学部門全体の落ち込みに歯止めをかけた。(ST,LZ:10/27)