SEAnews 1999-11-09 ArtNo.20952

【シンガポール】ゴー・チョクトン首相は6日、シンガポールを訪れたインドネシアのアブドゥルラーマン・ワヒド大統領にインドネシアの経済再建支援を約束するとともに、バタム島に加えビンタン島とカリムン島も自由貿易地区(FTZ)に指定するよう提案した。
この日午前の会談後ワヒド大統領と共に記者会見したゴー首相はバタム島がＦＴＺに指定されたならシンガポールは数年内に同島の就業機会を2倍に拡大するよう支援を提供すると語った。これに対してワヒド大統領が、専門委員会を設け、首相の提案に検討を加えることを約束すると、ゴー首相は、近々大型経済代表団を率いインドネシアを訪問する考えを明らかにした。
シンガポールが経済危機発生当初提案した50億米ドルの貿易信用供与問題に関して、ゴー首相は「同問題はスハルト大統領及びハビビ大統領時代に両国間で協議したものの、結局実現できなかった。今日のインドネシアは別の形式の援助を必要としており、貿易信用供与問題は再協議する必要はないと思う」と語った。
一方、シンガポール経済開発局と外務省が共催した午餐会の席上、ワヒド大統領は「インドネシアはシンガポールや日本が保持する、科学技術、ネットワーク、資本、管理技術等の方面の支援を必要としており、同時に中国及びインドとの密接な経済関係樹立に取り組む。その上で欧米や中東と相互信頼のビジネス関係の樹立を図る。しかしこれは経済ブロックの形成を目指すものではなく、インドネシアがこの種のブロックを形成するために、他の地域との関係を犠牲にするようなことはない」と、外交面の姿勢を明らかにした。
ワヒド大統領は、また中国や国内の華人系住民との関係を重視する姿勢を明らかにするとともに、自分も、500年前に中国新疆省からカンボジアを経てインドネシアに移住した華人の末裔であり、娘は目下大学で中国語を学んでいると、華人の血統を引くことを初めて披露した。それによると新疆からカンボジアに渡った陳金漢と言う華人がワヒド大統領の祖先と見られると言う。
この日、ワヒド大統領はまたシンガポールのリー・クアンユー上級相に、国際顧問団の一員として、インドネシアが直面する様々な困難の克服を支援するよう要請した。(LZ,ST:11/7)