SEAnews 2000-01-05 ArtNo.21436

【シンガポール】シンガポールの11月の製造業生産は主要部門の電子産業や化学工業の好調に支えられ、昨年同月比18.2％の成長を見た。こうした高い成長率は比較の対象になる昨年同月の伸びが低調な3.3％にとどまったことにもよる。しかし10月の23.2％の成長には及ばなかった。また一時的な変動を相殺した3ヶ月移動平均で見ると、11月の成長率は18.8％になる。
経済開発局(EDB)が先月末発表した月間工業生産指数(IPI)報告書によれば、国内経済の4分の1近くを占め、金融／ビジネス・サービスと共にシンガポール経済成長のツイン・エンジンを成す製造業の年初11ヶ月の成長率は14.4％と、1998年のリセッションから強靱な立ち直りを見た。
この結果、第2四半期と第3四半期の国内総生産(GDP)成長率は6.7％を記録した。1999年通年のＧＤＰ成長率に関しては、通産省は約5％と予想しているが、大部分の民間アナリストは5.5％と予測している。
貿易開発局(TDB)は11月の国産非石油製品輸出が24.5％の成長を遂げたと報告しており、この点からも製造業生産は引き続き堅調な拡大基調を辿るものと予想される。
製造業生産のほとんど半ばを占める電子生産は11月に25.5％の成長を遂げ、ディスク・ドライブ(HDD)とプリント基板アセンブリー(PCBA)を除く全ての電子部門がプラス成長を記録した。
台湾地震後に記録されたピークに比べＤＲＡＭ(dynamic random access memory)価格は多少軟化したものの、強い国際需要に支えられ半導体生産は引き続き力強い成長を遂げ、通信機器業界はアジア市場向け携帯電話の生産を拡大した。また国際需要の拡大に応じプリンター等のコンピュータ周辺機器の生産も伸びた。
それに引き替えシンガポールにおけるＨＤＤ生産は、業界再編やマレーシア等の近隣諸国への製造拠点シフトの影響を受け、昨年同月を下回った。またＰＣＢＡの生産も僅かに下降した。
しかしながら年初11ヶ月の電子製品生産は、国際的な電子市況の回復に支えられ、全体として23.2％の成長を記録した。
製造業付加価値生産の21.5％のシェアを占める化学工業も11月には21％の強力な伸びを達成した。石油精製部門の生産は14.5％下降したものの、薬品生産は63.1％、特殊化学品生産は61.3％、石油化学生産は4.0％の成長を遂げた。化学部門の年初11か月の成長率は20.5％を記録した。
シンガポール製造業の第3セクター、エンジニアリング部門は精密工学の23.9％の伸びに牽引され、6.8％のプラス成長を記録したが、プロセス・エンジニアリングは－14.5％、運輸機器製造部門は－6.7％と、何れも不振だった。エンジニアリング部門の年初11ヶ月の成長率は0.3％にとどまり、内訳は、精密工学＋6.4％、プロセス・エンジニアリング－8.8％、運輸機器－4.2％となっている。(ST,BT,LZ:12/27)