SEAnews 2005-07-22 ArtNo.35959

【ムンバイ】州電力局(SEB:state electricity board)等の電力公益事業体が、珪素鋼値上がりに伴う変圧器コスト上昇の負担を拒んでいることから、マハラシュトラ州、チャッティースガル州、ウッタルプラデシュ州、西ベンガル州、カルナタカ州、タミールナド州等における電力部門の近代化計画が停頓している。
ビジネス・スタンダードが7月19日報じたところによると、輸入珪素鋼の高騰で変圧器の価格は昨年約40％上昇した。しかし電力公益事業体は、この種のコスト負担を拒否している。Bharat Heavy Electricals／Crompton Greaves／ABB／Emco／Alstom／Telec等の変圧器メーカーと電力公益事業体との交渉は膠着状態に陥っており、あるものは納入を完全にストップ、その他のものについても渋滞が生じている。
インド電気・電子製造業者協会(IEEMA:Indian Electrical and Electronics Manufacturers Association)のRajesh Jain前会頭によると、珪素鋼の他、軟鋼、銅、トランスフォーマー・オイルも値上がりしている。この結果、160 MvAトランスフォーマーの価格は1年前の2.5クロー(US$57万)から3.3クロー(US$76万)に、63 KvAのそれは同4万ルピー(US$918)から6万ルピー(US$1378)に、それぞれアップした。珪素鋼は、変圧器原料コストの40％近くを占めている。珪素鋼の1メートル・トン当たり価格は1年前の1200米ドルから今年6月の3600米ドルに3倍に膨張した。供給逼迫が続いていることから来年には4000ルピーを突破するものと予想される。IEEMAのSunil More事務局長(SE)によると、珪素鋼のこうした値上がりは、欧州／中国／日本／韓国の珪素鋼メーカー10社ほどがカルテルを組織したことに伴うもの。
電力公益事業会社が結んだ変圧器購買契約は、50％が価格変動条項(clause for price variation)を含まぬ確定契約(ﾁｬｯﾃｨｰｽｶﾞﾙ/ｶﾙﾅﾀｶ)、30％が20％の範囲で価格変動を認める契約(ｱﾝﾄﾞﾗﾌﾟﾗﾃﾞｼｭ/ﾀﾐｰﾙﾅﾄﾞ/NTPC)、20％が柔軟な価格調整を認める契約(ﾏﾊﾗｼｭﾄﾗ)となっている。マハラシュトラ州電力局(MSEB)は、契約書の中で柔軟な価格調整を認めているにも関わらず、コスト負担を拒否している。インドの電力産業が年率15％の成長を遂げる中、年間製造能力8万MvAの変圧器業界は年率22％の成長を実現している。
高いインプット・コストと低いマージンから地元鉄鋼メーカーや世界の多くの鉄鋼メーカーは、珪素鋼の生産に関心が薄い。珪素鋼の製造施設には300クロー(US$6890万)以上の投資を必要とすると言う。