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2010-03-26 ArtNo.43231
◆インド、ロシアとの核・国防協力に尻込み
【ニューデリー】Manmohan Singh首相とPutin首相の二者会談が行われるまで、インド側関係機関には、原子力にしろ国防にしろ宇宙事業にしろロシアのベアハッグ(bear hug)だけは回避したいと言う空気が充満しており、プーチン首相が今月12日にインドを訪れた際には、両国の核・国防協力協定はほとんど調印不可能な状態にあった。
ビジネス・スタンダードが3月23日報じたところによると、ハイデラバード・ハウスにおけるプーチン首相とシン首相の会談がスタートするほんの数時間前の12日の正午まで、ロシアのSergei Sobyanin第一副首相とロシア原子力機関RosatomのSergei Kiriyenko主任は、政府間協定(IGA:Inter-Governmental Agreement)と原子力発電所建設ロードマップ(Road Map)の調印を目指し、インド側のShivshanker Menon国家安全保障顧問(National Security Adviser)と膝詰め談判を行った。メノン氏は、「インドとしては、ロシア側が作成したロードマップを受け入れることはできず、特に現行第11次五カ年計画が満了する2012年を超える如何なる約束も、現時点では行えない」と抵抗したようだ。しかし、今回のインド訪問の成果とすることができる実質的協定を締結するようプーチン首相から厳命されたSobyanin/Kiriyenko両氏は、妥協案を提示し、両首相の立ち会いの下に何が何でも協定に調印するよう迫った。Sobyanin氏がプーチン首相とともにSonia Gandhi国民会議派議長と会見するため、談判の席を離れた際には、別の核問題専門家が加わりKiriyenko氏とともに交渉を続けた。
消息筋によれば、2008年にインドに対する核封じ込め政策を解く大胆な決定を下した米国への配慮からも、インドはロシアと緊密な関係を結ぶことを好まなかった。加えてロシア側が提示したロードマップにはタミールナド州Kudamkulamに新たに2つの原子力発電所を建設した上、さらに4~6基のプラントを設ける計画が含まれていた。また西ベンガル州Haripurには別に4~6基の核施設を建設することも予定されていた。インドと米国間の核燃料再処理交渉は最終段階を迎えており、シン首相がワシントンに赴きオバマ大統領とともに原子力会議に参加する日取りも迫っていたことから、インドとしては現時点でロシアと核協力協定を結ぶのは得策ではないと感じていた。
実際のところ、第5世代戦闘機や多機能輸送機に関する協定締結に関しても時期尚早との見方が一般的だった。またロシアが独自開発した全地球測位システムGlonassを、軍事用途にも用いると言うロシア側の提案についてもインドは難色を示し、結局調印は見送られた。しかしインドは追って調印することを約束したと言う。
とは言え、両首相の立ち会いの下に調印されたIGAと原子力発電所建設に関するロードマップの下に、ロシアが行った原子力領域における協力提案は広範で、寛大なものだった。ロシアは、インド米国民生用核協力協定以上のものを、インド側に提供することを約束した。
Kiriyenko氏がニューデリーでロシア・メディアに語ったところによれば、ロシアはKudankulamとHaripurに国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)の安全基準を満たした原子力発電施設16基を建設するとともに、ロシアにおいてウラニウムの探査開発を合弁で進めることを提案した。ウラニウム資源の合弁開発はおそらくシベリアYakutiaのElkonウラニウム鉱山で進められ、採取されたウラニウムはインドと第三国に輸出される。Elkon鉱山には全世界の採掘可能量の5.3%に相当する34万4000トンのウラニウムが存在し、ロシア国営鉱山会社ARMZ Uranium Holding Coと、AtomRedMetZolotoのいずれかが、鉱業ライセンスを保持している。
Kiriyenko主任によると、インドとロシアの原子力協力は、KudankulamとHaripur両地における複数の核発電施設の建設や核燃料の製造にとどまらず、ロシアは核発電施設の合弁製造を提案した。同合弁製造施設はインド国内に設けられる。
核開発戦略アナリストG. Balachandran氏によると、使用済み核燃料の再処理に関するロシアの提案は、米国を含む他の如何なる国の提案をも上回っている。核燃料の再処理に関する米国との交渉は最終段階を迎えているもようだが、交渉妥結後、さらに米国下院の承認を得ねばならない。そして米国下院に同協定が上程された際には、上院および下院のメンバーはそれぞれ同協定に条件を付けることができると言う。
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