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2010-08-16 ArtNo.43792
◆英専門誌、医療観光に伴う超強力耐性菌蔓延のリスク警鐘
【ロンドン/ニューデリー】南アジア・ヘルス観光が新種の抗生物質耐性超強力細菌(superbug)『ニューデリー・メタロ-β-ラクタマーゼ(NDM-1:New Delhi metallo-beta-lactamase)』を英国にもたらした。この新遺伝子は、南アジアと英国内の患者から発見されたものだが、全世界に拡散する恐れがある。
エコノミック・タイムズ、デカン・ヘラルド、ザ・ヒンドゥー、ファイナンシャル・エクスプレスが8月12/13/14日、英国の医学専門誌『The Lancet Infectious Diseases』の11日の報道を引用し伝えたところによると、研究者らは以上のように報告するとともに、「院内感染問題は、既に対応困難な状況にあるが、最近発見された遺伝子は異なる種類の細菌に交雑可能なため、一層御しにくくなった。人々は格安の医療サービスを受けるため海外に旅行しているが、抗生物質耐性超強力細菌に感染し、拡散させるリスクが存在する」と警鐘している。
インド政府は英国の科学者が新種の超強力耐性菌の発生地をインドとしたことに驚愕、保健省傘下の国立疾病予防センター(NCDC:National Centre for Disease Control)は12日、緊急会議を開き同問題を協議した。保健省のV M Katoch次官(保健研究担当)はPTI通信に「我々はこの問題に対する回答を間もなく作成する」と語った。
別の保健省官員は「その種の細菌は自然に存在するもので、インド以外の他の国にも存在する」とし、「インドの病院は安全」と語った。
インド院内感染学会(HISI:Hospital Infection Society-India)とインド医療微生物学者協会(IAMM:Indian Association of Medical Microbiologists)は12日、「新多剤耐性酵素の発生地がインドとする医学報告書は商業主義に基づくもの」と、厳しく非難する声明を発表した。HISIのTS Jain会頭は「インドが良質な医療サービスを合理的価格で提供するメディカル・ハブとして急浮上する中で、関係報告書は、人々をインド医療観光から遠ざける商業主義的意図をもって書かれている」と語った。
インドの地元紙によると、その実、NDM-1に関する最初の論文は、昨年、マハラシュトラ州Mumbai拠点の『P.D. Hinduja National Hospital and Medical Research Centre』により作成され、2010年3月にインド医師会(API:Association of Physicians in India)の会報に掲載された。またNDM-1が注目を呼ぶ5ヶ月前に、ムンバイ拠点の半ダースほど調査員が非常ベルを鳴らしたと言う。それによると、ムンバイの同じ病院で3ヶ月間に検査された24人中22人から超強力耐性菌が発見され、P D Hinduja National Hospital and Medical Research Centreの医師らは、この時既に、超強力耐性菌が蔓延すれば、国内で医療サービスを受ける患者を危険に晒し、医療観光にも悪影響を及ぼすと警鐘を鳴らしていた。
問題の報告書の筆頭制作者Karthikeyan Kumarasawamy氏は、「抗生物質耐性超強力細菌の発源地がインドとしたのは仮説に過ぎず、現時点で心配したり、恐れる必要はない」とするとともに、一部の報道内容は同氏の関知しないものとコメントした。
マドラス大学微生物学部は13日、同校の研究生Karthikeyan Kumarasamy氏の研究の成果を擁護するステートメントを発表したが、新多剤耐性酵素のメディカル・ツーリズムに対する影響にはコメントしていない。
保健省のP. Ramesh次官によると、NDM-1問題は多剤耐性菌に対する新たな懸念を生じさせたが、インド公衆衛生研究所(Indian Institute of Public Health)は、英国のNorthwick Park Hospitalと共同で近く、Gandhi Hospitalにおいて、院内感染制御の基準を作成するパイロット・プロジェクトに着手すると言う。
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