SEAnews 1996-08-05 ArtNo.7087

【クアラルンプル】シンガポール・テレコム(ｼﾝｸﾞﾃﾙ)のラファエル・リョン副社長は先週当地で催されたマルチメディア・アジア96のパネル・ディスカッションの席上、マレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)は情報技術(IT)分野における積極的な動きとして評価でき、シンガポールに恩恵を及ぼすとの考えを語った。
同氏によれば、ＭＳＣプロジェクトは域内の居住者に恩恵を及ぼすと言うマハティール首相の発言にシンガポールは同意する。テレコミュニケーションは情報システムを通じて人々を結ぶ手段であり、こうした観点からすれば、ＭＳＣ構想は積極的動きとして評価でき、シンガポールに展望と恩恵を及ぼす、すばらしいことと言う。
リョン氏のこうした賛辞に関わらず、シンガポール官員の中には、ＭＳＣはＩＴ投資家誘致を図るシンガポールにとって強力な競争者になると懸念を表明するものもある。匿名を希望する某シンガポール官員は、「ＭＳＣはあるいはシンガポールにとって脅威になるだろう。マハティール首相が披露した奨励措置はシンガポールにより提供されているものより魅力的だ」と語った。
一方、マレーシア工業開発局(MIDA)のザイノン・アイシャ・アハマド副局長(DDG)は、「マレーシアは新たな状況に対応し、既存の投資ガイドラインに見直しを加える必要がある。またシンガポールを見習い創造性に対する奨励措置を導入、タレントを誘致する必要もある」と指摘した。(ST:8/4)