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2016-01-31 ArtNo.45671
◆書評:聖霊のバプテスマ(自由の律法)




 我々の価値観(多様性を受容する米国の価値観)が蝕まれるのを傍観してはならない。我々は米国のひいては全世界のイスラム教徒を、そして他の少数派コミュニティーを支持せねばなない。(Google CEO)


○エルサレム教会とアンティオキア教会の並立
 アレキサンダー大王の東征に伴う東西文化の融合の過程で、ユダヤ教を批判的に吸収した異邦人による教会運動が地中海沿岸各地に発生すると、イスラエル国内でもより原理主義的な宗教改革運動が生じ、両者を統合するエルサレム教会が誕生した。しかし異邦人信者と原理主義グループの対立がすぐに表面化し、異邦人信者は、エルサレム城外に立ち退きを強いられた。このため異邦人信者は新たにアンティオキア教会を創設し、主に非ユダヤ人を対象に布教活動を開始した。この結果、主にユダヤ人を対象に布教活動を行うエルサレム教会とアンティオキア教会の並立時代が出現した。

○ヤコブの『自由の律法』
 アンティオキア教会を率いるパウロが、「人が義と認められるのは、律法の行ないによるのではなく、信仰による」という信仰義認を説いたのに対し、エルサレム教会を率いるイエスの弟ヤコブは、信仰と実践の一致、行信一如を説いた。
 ヤコブは一人のナザライト(原理主義者集団)として旧約の律法を厳格に遵守する生活をおくり義人と称えられたが、他人、取り分け非ユダヤ人にまで律法の厳格な遵守を押しつけることはしなかった。彼は、『神は、わたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに愛しておられる(ヤコブ4:5)』とし、内なる霊に則った『自由の律法』と言う新概念を提起した。

○ペテロの『自由人』




 また洗礼者ヨハネの元弟子グループのリーダー、ペテロも外的な律法に束縛されるのではなく、内なる聖霊に基づく『自由人』にふさわしく行動しなさい(第一ペテロ2:16)と説いている。
 守らねばならないのは、自己に内在する聖霊が定めた律法であり、裁くのも内なる聖霊である。こう言う人は外部から如何なる束縛も受けないから『自由人』と言うのである。
 ちなみに、『神は、わたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに愛しておられる(ヤコブ4:5)』と言う聖句は、旧約聖書には見あたらないことから、『自由の律法』や『自由人』と言う概念は、イエスの直伝によるものと見られる。
 ヤコブは、海外に離散したユダヤ人信徒に宛てた書簡の中で、あたかも『修証一如』を説いた道元禅師のごとく、「完全な律法、自由の律法を一心に見つめてたゆまない人は、聞いて忘れてしまう人ではなくて、実際に行う人である。こういう人は、その行いによって祝福される(ヤコブ1:25)。だから、自由の律法によってさばかるべき者らしく語り、かつ行いなさい(ヤコブ2:12)。なぜなら人が義とされるのは、行いによるのであって、信仰だけによるのではない(ヤコブ2:24)。」と『聖霊のバプテスマ』の神髄を解き明かしている。

○パウロの内なるキリスト
 一方、パウロは≪コロサイ人への手紙≫の中で、「互いに空虚な言葉の遊び(lie)にふけるのは止めなさい。なぜならあなた方はすでに古い人格(old self)を、その習わしとともに脱ぎ捨て、創造主の形象にならって日々新たにされる正しい知識(knowledge=Gnosis=般若波羅蜜)に基づく新しい人格(new self)を身につけたのではありませんか。そこには、ギリシヤ人もユダヤ人もなく、割礼と無割礼もなく、未開人、スクテヤ人、奴隷、自由人の差別はない。キリストがすべてであり、キリストはすべてのものに内在しています。(コロサイ人への手紙3:9-11)」と説いている。
 したがって、パウロもヤコブもペテロも、内なる聖霊に依拠した信仰を説いており、広義のグノーチシズムに属していたと言える。

○真理の御霊




 グノーチシズムはインドの大乗仏教運動にも影響を及ぼし、取り分けイエスの『聖霊のバプテスマ』はトマスによりインドに伝えられた後、中国や日本で禅文化を開花させたのみならず、イスラム教の誕生にも寄与したようだ。ムハンマドは、申命記18章15節にその出現が予告された預言者や、ヨハネ福音書14章16節でイエスが自分の死後に神がこの世に使わすことを約束した真理の御霊は、自分をおいて他にないと言う確信を抱き、イスラム教を創始したとされる(クルアーン7:157,61:6)。

○ピチャイ氏の提言
 最近、情報技術(IT)企業Googleの首席執行役員(CEO)に抜擢されたインド生まれのサンダー・ピチャイ氏は、「偏見のない寛大な態度で回教徒移住者を受け入れるべきだ」と訴え、センシチブな政治論争の渦中に自ら飛び込んだ。(SEAnews 2015-12-25ArtNo.45590)





 ピチャイ氏は「私は仕事で各地のキャンパスを訪れ、活気に溢れた人種と文化のミックスを眼にする。これらの人々は、それぞれ異なる声、異なる意見、異なるストーリーを保持している。これらのすべてが我が社を興奮させ、突出したものにし、手を携えて偉大な事を成し遂げることを可能にする。我々は一層の多様化を緊急課題として取り組んでいる。なぜならそれは、将来の成功にとって極めて重要だからである。一企業の創設や一国の経営において、様々な主張や、経歴、体験のミックスを保つことは、より良い討論、より良い方針決定、また誰にとってもより良い結果をもたらすものと、私は信じている。」と語るとともに、出身地や宗教に基づき、ある種のグループの人々をボイコットしようとする動きに懸念を表明、「多様性を受容する米国の価値観が蝕まれるのを傍観してはならない。我々は米国、そして全世界のイスラム教徒やその他の少数派コミュニティーを支援せねばならない」と訴えた。
 ピチャイ氏は、キリスト教、大乗仏教、イスラム教、禅文化を生み出したアレキサンダー大王東征以来のシンクレティズムの潮流が、米国大学のキャンパスに脈々と受け継がれていることを体感したようだ。

○いんもの人




 中国唐代の雲居山弘覚(うんごさん・ぐかく)大師(853-902)は「恁麼(いんも)の事(こと)を得んと欲せば、いんもの人になればよい。すでにいんもの人なれば、もはやいんもの事を愁える必要はなかろう」と説いている。「こういうことを欲するならこういう人に、そういうことを欲するならそういう人に、ああいうことを欲するなら、ああゆうひとになればよい」と言うのである。
 日本曹洞宗の開祖道元禅師は、≪正法眼蔵≫において、弘覚大師は『無上菩提』の極意を、仮に『いんも』と表現したと述べている。それによると、尽十方界(東西南北四緯上下)の森羅万象も無上菩提が具現したものであり、無上菩提は尽十方界にも収まらず、あふれ出している。我らもこの尽十方界の調度品であり、我々は、自分の身心が客体としてこの尽十方界に具現しているから自分自身を『いんも』として認識できる。この時、肉体は既に非我であり、生命(いのち)も時間の流れの中では一瞬もとどまることがない。紅顔の美少年や美少女も明日は白骨となり、もはや跡形もない。赤心などと力んでみても、心変わりは世の常で、千々に乱れる心をとどめることはできない。




 また『いんも』であるが故に、理由もなく発心し、それまでの習慣を投げ捨て、これまで聞いたことのないものを聞こうとし、いまだ証したことのないものを証そうとする。それはそのものの所為(せい)ではなく、『いんもの人』なるが故にそうなのである。
 また『いんもの事』を得ようと思うが故に『いんもの人』としての自覚を得ることができる。そして一旦、『いんもの人』と言う自覚を得たなら、もはや『いんもの事』を愁える必要はない。
 『いんも』には、知覚の対象としての『声色のいんも』、知覚する側の『身心のいんも』、さらには対立を超越した『諸仏のいんも』もある。仮に仏の秤でも、法界の秤でも、尽界の秤でも、測れない『いんも』が有ったにしろ、すでに『いんもの人』であるなら、『いんもの事』など愁える必要はない。地面を歩いてころんだ者が、地面に手をついて立ち上がる時、自分が地面にころんだことを疑うものはないのと同じである、と道元禅師は解き明かしている。(正法眼蔵第十七恁麼)




 道元禅師はまた『普勧坐禅儀』の中で、次のようにアドバイスしている。「道(真理)というものは本来完全なもので、修行や証しを必要としない。また真理に至る手段は、自在(本来備わっている)で工夫をこらす必要もない。-略-言葉(教典)の解釈に頭を悩ますのは止め、変化する外境に目を奪われず、内に光を回らすなら、自ずから本来の自己(the Self)が現前する。いんものこと(永遠不滅の自己に目覚めること)を欲するなら、いんものこと(坐禅)をしなさい。」
 中国の香厳和尚は撃竹の音を聞いて悟りを開き、釈迦は菩提樹の下であけの明星を見て、「天上天下唯我独尊、草木国土悉皆成仏」と証見した。一説によれば、釈迦は少女スジャータが差し出したヨーグルトを食べて悟りを開いたとされる。釈迦にとっての『いんも』が明星であったか、美少女スジャータであったか、ヨーグルトであったかは、想像する他ない。<以下次号>





○『聖霊のバプテスマ』とは一体何か
 ヨハネ福音書の弁証法に従うなら、
【テーゼ】 『人は、人の子の証しを受け入れ、聖霊のバプテスマを受けることにより永遠の命を得られる(ヨハネ5:24)』。
【アンチ・テーゼ】 しかし、『地上の人間は、決して天から来たものの証しを理解できない(ヨハネ3:32)』。
それでは、地上の人間はどうして永遠の命を得られるのか。
【ジン・テーゼ】 『地上の人間は始めに神と共にあった言葉(ヨハネ1:1)に立ち返り、神が全き真理であることを自ら覚知すればよい(ヨハネ3:33)』。
文益禅師は「お前は慧超だ」と答えることにより、慧超自身の内に秘められた『真の自己(声前の一句)』を突きき付けたのである。(キリスト教の起源p.155)
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【参照】

Qur'an Chapter 7 Section 157

7:157. Those who follow the Messenger, the Prophet who can neither read nor write (i.e.Muhammad ) whom they find written with them in the Taurat (Torah) (Deut, xviii, 15) and the Injeel (Gospel) (John xiv, 16) , - he commands them for Al-Ma'ruf (i.e. Islamic Monotheism and all that Islam has ordained); and forbids them from Al-Munkar (i.e. disbelief, polytheism of all kinds, and all that Islam has forbidden); he allows them as lawful At-Taiyibat [(i.e. all good and lawful) as regards things, deeds, beliefs, persons, foods, etc.], and prohibits them as unlawful Al-Khaba'ith (i.e. all evil and unlawful as regards things, deeds, beliefs, persons, foods, etc.), he releases them from their heavy burdens (of Allah's Covenant), and from the fetters (bindings) that were upon them. So those who believe in him (Muhammad ), honour him, help him, and follow the light (the Qur'an) which has been sent down with him, it is they who will be successful .

クルーアン7章157節

157. かれらは文字を知らない預言者,使徒に追従する者たちである。かれはかれらのもっている(啓典)律法(申命記18:15)と福音(ヨハネ14:16)の中に,記され見い出される者である。かれは正義をかれらに命じ,邪悪をかれらに禁じる。また一切の善い(清い)ものを合法〔ハラール〕となし,悪い(汚れた)ものを禁忌〔ハラーム〕とする。またかれらの重荷を除き,かれらの上の束縛を解く。それでかれ(使徒)を信じる者は,かれを尊敬し,かれを助けて,かれと共に下された御光に従う。これらの人びとこそは成功する者たちである。」

クルーアン61章6節

6. マルヤム(マリア)の子イーサー(イエス)が,こう言った時を思い起せ。「イスラエルの子孫たちよ,本当にわたしは,あなたがたに(遣わされた)アッラーの使徒で,わたしより以前に,(下されている)律法を確証し,またわたしの後に来る使徒の吉報を与える。その名前は,アハマドである。」だがかれが明証をもって現れた時,かれらは,「これは明らかに魔術である。」と言った。

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正法眼藏(第十七)恁么之,(第二十六)佛向上事

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