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イエスの十字架計画(5)

「先にガリラヤ帰って待っている(マタイ26:32,マルコ14:28)」と言い遺して十字架にかかったイエスの言葉を信じて帰郷した弟子たちが、ガリラヤ湖(ティベリウス海)で漁をし、翌朝空しく手ぶらで戻ると、一人の男が岸辺から、船の右舷に網を投じるようアドバイスした。彼らが言われた通りにすると153尾の魚が網にかかった。弟子たちが岸に上がると、火を起こして待っていた男は、焼き魚とパンを弟子たちにふるまった。弟子たちは誰も敢えて問はなかったが、その男がイエスであると信じた。(ヨハネ21:1-12)
これらのもの以上に私を愛するか
弟子たちが食事を終えると、イエスは、シモン・ペテロに言われた「ヨハネの子シモンよ、あなたはこれらのものを愛する以上に、わたしを愛するか」。ペテロは言った「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に言われた、「わたしの小羊を養いなさい」。

イエスはまた彼に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。彼は言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じの通りです」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を養いなさい」。
イエスは三度目に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。ペテロは「わたしを愛するか」と三度も言われたので、心をいためてイエスに言った、「主よ、あなたはすべをご存じです。わたしがあなたを愛していることは、おわかりでしょう」。するとイエスは重ねて「わたしの羊を養いなさい」と命じられた。(ヨハネ21:15-17)
アガパオーとフィレオー
イエスは、『これらのもの』と言う言葉にこの世の一切のものを包摂し、「それを断ち切る覚悟があるか」、「アブラハムの子孫などと言う宿業を超越した存在としての『人の子』を愛し、自分の羊を養うことができるか」と問うたが、ペテロは、イエスの真意を理解することができなかったようだ。
イエスは3度「私を愛するか」と問うた際、至高の愛を意味する『アガパオー(agapao)』と言うギリシャ語を用いたが、ペテロは3度とも、現世の兄弟愛や親子の愛を意味する『フイレオー(phileo)』と言うギリシャ語を用いて、「私があなたを愛していることはご存じでしょう」と反問している。
あなたは私について来なさい

イエスは続けてペテロに「よくよくあなたに言っておく。あなたは若かった時、自分で帯をしめ、行きたいところへ行ったが、年をとってからは、両手をのばし、ほかの人があなたに帯を結び、行きたくない所へ連れて行くであろう(ヨハネ21:18)」と語られた。
ここでヨハネ福音書の筆者は、「これは、ペテロがどんな死に方で、神の栄光をあらわすかを示すために、お話になったのである(ヨハネ21:19)」と注釈をつけている。
それからイエスは「私について来なさい」と命じられた。ペテロが振り返ると、イエスの愛する弟子がついて来るのが見えた。この弟子は、「この中に自分を裏切るものがいる」と言うイエスの言葉に皆が凍り付いた最後の晩餐の席で、イエスの胸によりかかり、あっけらかんと「あなたを裏切るのは、だれですか」と尋ねたものであった。
ペテロがイエスに「この弟子はどうですか」と尋ねると、イエスは、「たとえ、わたしの来る時まで彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたになんの係わりがあるか。あなたは、わたしについてきなさい」と答えられた。(ヨハネ21:21-22)
ヨハネは寺坂吉右衛門?

ヨハネ福音書の著者は、自分自身のことを繰り返し『イエスが愛した弟子』と述べ、その証言が真実であることを強調しただけでなく、ガリラヤ湖で弟子たちの前に出現したイエスに「私が復活する時まで彼(ヨハネ福音書の筆者)が生き残っていることを私が望んだとしても...」と語らせ、十字架刑の真の意味を後世に伝えることを、イエスから託されたことを示唆している。
十二使徒の中で、ヨハネの兄ヤコブは、西暦43年にヘロデ・アグリッパ1世により斬首され、イエスの弟で教団を率いた小ヤコブは63年に殉教、パウロとペテロも65年と67年にネロ帝により処刑された。その後、トマスはインドで、マタイはエチオピアまたはペルシアのヘリオポリスで、アンデレはギリシアのアカイア地方で、イエスのもう一人の弟タダイはペルシアで、それぞれ殉教したとされる。熱心党のシモンについては、ブリテン島、エジプトあるいはペルシアで受難、もしくはユダヤの反乱に巻き込まれて殉教したとの諸説がある。イエスが『真のイスラエル人』と称えたバルトロマイ(ナタナエル)はアルメニアで皮剥の刑に処され、十二使徒のなかで天寿を全うしたのはピリポとヨハネ福音書の著者のみのようだ。
赤穂浪士の討ち入りに加わりながら、ただ一人生き残った寺坂吉右衛門は、一時、逃亡者の汚名を着せられたが、その実、大石内蔵助から、討ち入りの真相を後世に伝える密命を受け、帰郷したとされる。ヨハネ福音書の筆者も十二使徒の中で自分だけが生き残ったことにある種の後ろめたさを感じていたのかも知れない。
十字架計画の真相
メシアを十字架にかけることを通じ、イスラエルを救済すると言う計画は、洗礼者ヨハネを信奉するファリサイ派の一部(例えばパウロ)や、大祭司カイアファを頂点とするサドカイ派内の改革論者により立案されたものと見られる。
ヨハネ福音書は「あなた方は、ひとりの者が(メシアとして)人々に代って死に、国全体が滅びないようにすることが、わたしたちにとって良いことだということを、考えてもいない。イエスは国民のために、ただ国民のためだけではなく、また散在している神の子らを一つに集めるために、死ぬことになっている」(ヨハネ11:50-52)と言う大祭司の言葉を2度引用し、カイアファが極めて重要な役割を演じたことを示唆している。
旧約の預言者エレミアやダニエルが、新バビロニアやペルシアとの協調を説いたように、ローマとの友好的関係を重視したカイアファは、イエスのようなメシアの登場を歓迎したものと見られる。その後、2度にわたり生じたローマに対する反乱により、カイアファの計画は挫折したものの、イエスの復活とユダヤ教の終末論を合体した理論を構築したパウロは、海外においてキリスト教が急成長する基礎を築くことに成功した。
テレアビブ大学の歴史学者シュロモー・サンド教授は、パレスチナのユダヤ人口が激減した最大の理由は、ユダヤ人の多くがキリスト教やイスラム教に改宗したためと見ており、同教授によると、キリスト教の布教活動はユダヤ国内においても大きな成果を上げたようだ。同教授は、西暦1世紀のユダヤ国内の人口が80万人前後であったのに対して、世界のユダヤ人口は400万人にのぼり、紀元前1世紀から紀元1世紀にかけて地中海周辺地域にユダヤ教が急速に浸透したと見ている。こうした海外ユダヤ教徒社会の周辺には、一神教の救済信仰に関心はあるものの、厳しい戒律が障害になり、入信を躊躇する膨大な予備軍が存在したと見られ、パウロが打ち立てた新救済論と新契約論は時代のニーズに応じるものだったと言える。
十字架計画の真意

しかしヨハネ福音書の筆者が読者に伝えようとしたより重要な点は、メシアの贖罪と復活を通じた救済は、いつ到来するか分からぬ(イエスは「その日、その時は、だれも知らない。天の御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる(マタイ24:36)」と述べている。)『終わりの日』を待つまでもなく、直ちに実現すると言う奥義である。
最後の晩餐を終えた後、イエスは「もしあなたがたがわたしを愛するなら、わたしのいましめを守りなさい。そうすれば、私は、別に助け主を送り、いつまでもあなたがたと共におらせるように、父にお願いしよう。それは真理の御霊である。この世はそれを見ようとも、知ろうともせず、それを受け入れることができないが、あなたがたはそれを知っている。なぜなら、それはあなたがたと共におり、またあなたがたのうちにいるからである(ヨハネ14:15-17)」と説き、さらに、「今まで、あなたがたはわたしの名によって求めたことはなかったが、その時、あなたがたは、わたしの名によって求めるであろう。そしてわたしは、もはや、あなたがたのために父に願ってあげようとは言うまい。求めなさい。そうすれば、与えられるであろう。そして、あなたがたの喜びが満ちあふれるであろう(ヨハネ16:23-26)」と述べている。
最後の説教を終えたイエスは、弟子たちから少し離れたところで、「私は彼らが聖別(煩悩具足の肉身から昇華)されるように、私自身を聖別致します(十字架に処せられ、自分の肉体を犠牲として献げます)」(ヨハネ17:19)と祈りを捧げた。
イエスが、この世にいる限り、弟子たちはイエスを頼り、直接、神と向き合うことがない。イエス自身、肉身を備えたままでは、真理の御霊として弟子たちの内に宿ることはできない。このため、イエスは神の子羊として十字架刑に処せられる道を選んだのである。
イエスはペテロとゼベダイの兄弟(ヨハネ福音書の筆者と兄のヤコブ)のみを、祈りの場に立ち会わせたようだ。
神は生けるものの神
とは言え、イエスは決して現世を否定した訳ではなく、また愛に霊的と世俗的な2つの愛が存在する訳でもない。
弟子の中で誰よりもマグダラのマリアを愛したとされるイエスの愛は、人の子としてはフィレオーであり、神の子としてはアガパオーである。天地開闢以前にイエスが神と共有した愛(ヨハネ17:5/17:24)、アガパオーの次元からすれば、男女の別はなく、神もなければイエスもない、「天上天下ただ我一人、三界の苦、我皆安んずべし」(修行本起経菩薩降身品第二)である。
イエスが彼らに言った、「あなた方が二つのものを一つにし、内を外のように、外を内のように、上を下のようにするとき、あなた方が男と女を一人ににして、男をおとこでないように、女を女でないようにするならば、-略- そのときにあなた方は御国に入るであろう。」(トマス22)
イエスは、復活を否定するサドカイ派に対して、「神は死んだものの神ではなく、生けるものの神である(ルカ20:38)」と明言し、ファリサイ派に対しては、「あなたがたは、『創造主は初めから人を男と女とに造られた。人は父母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきであり、神が合わせられたものを、人は離してはならない(マタイ19:3-6)」と説いている。
この世に神の国を実現する道のりは未来永劫にわたるかも知れないが、そのための最初の一歩を踏み出すものは、その時点で永遠の命を得、神の国に生きることができるのである。(トマス18)
終末論とグノーシス主義の融合

十二使徒の中で最後まで生き残ったヨハネ福音書の著者は、パウロの贖罪論や終末論に、トマス福音書等に見られるグノーシス派の教理も取り入れ、独自の復活信仰を構築した。
グノーシス派は、人に内在する至高の存在としての本源的自己に目覚めることにより、現世の苦厄から解放され、永遠の命を得ることができると説くが、ヨハネ福音書のイエスは「永遠の命とは唯一まことの神であるあなたと、あなたにより使わされたイエス・キリストを認識することにある(ヨハネ17:3)」と述べている。ヨハネ福音書の筆者は、イエスこそ、真理の御霊(本源的自己)そのものであり、イエスを信じ、イエスの教えを実践するものは、真理の御霊を宿し、この世に居て神の国に生きることができると説き、終末論とグノーシス理論を見事に融合した。
グノーシスの原点
その実、パウロもローマ信徒への手紙等において程度の差こそあれ、グノーシス理論を説いている。
我々が洗礼を通じてイエス・キリストに帰一した時、我々は彼と死を共にしたことを忘れたのですか。洗礼を通じキリストと共に死にキリストと共に葬られた我々は、ちょうどキリストが父の輝ける力により死から蘇ったように、新たな命を得て生きることができるのです。既にキリストと死を共にした我々も彼と同様に蘇ることができるのです。なぜならキリストとともに死んだ時、罪の支配から解放されたからです(ローマ信徒への手紙6:3-5)。
ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男子も女子もありません。なぜなら、あなたがたはみな、キリスト・イエスにあって、一つだからです。(ガラテア3:28)
このことは、イエスの教そのものに、終末論や復活信仰とともに、その対極のグノーシス主義の源流が存在したことを物語っている。(回光庵返照2011-07-21)

『聖霊のバプテスマ』とは一体何か
ヨハネ福音書の弁証法に従うなら、
【テーゼ】  『人は、人の子の証しを受け入れ、聖霊のバプテスマを受けることにより永遠の命を得られる(ヨハネ5:24)』。
【アンチ・テーゼ】  しかし、『地上の人間は、決して天から来たものの証しを理解できない(ヨハネ3:32)』。
それでは、地上の人間はどうして永遠の命を得られるのか。
【ジン・テーゼ】  『地上の人間は始めに神と共にあった言葉(ヨハネ1:1)に立ち返り、神が全き真理であることを自ら覚知すればよい(ヨハネ3:33)』。
文益禅師は「お前は慧超だ」と答えることにより、慧超自身の内に秘められた『真の自己(声前の一句)』を突きき付けたのである。(キリスト教の起源p.155)
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